【タイトル】  ショートショートすと〜り〜ず【 待 】 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【ジャンル】  恋愛 【種別】  短編小説 【本文文字数】  1129文字 【あらすじ】  君と過ごす毎日で、ふと僕は過ちを犯す。君から誘われたデートをすっぽかすことは、君という恋人のいる生活の素晴らしさ、君という存在の大きさを実感した。それは、とある冬の雪物語 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************ It is sinful not to believe you. There be it with me who believe only you.  雪が舞い落ちた。  ひらり、はらりと、無数の散り様。  雪たちは何を思い、何を想い、地面へと力なく落ちていくのだろうか。  冷え切った空気を吸い込む。  冷たさは針のように、僕を痛めつけてきた。  自然に、足取りは重くなる。  降り積もった雪を踏みしめる音が、ひどく重いように思えて。  ふと、今日一日が走馬灯のように駆け巡っていった。 『約束なんだから、忘れないでね』  嬉しそうに念を押していたあいつの姿が、今は刃にも思えて。  その笑みも、これからは記憶だけのものになるんじゃないかと――怖かった。  約束とはかけ離れた、見るもつらい時間。  無造作に掲げている傘を見つめ、足取りはじょじょに遅くなっていく。  もういないだろう。  待ち合わせ場所は、屋根がない。待っている筈がない。  あまりにもひどすぎる失態――待たされているあいつは、それを思い描く俺よりも深く傷ついただろう。  そう思うと、悲しみが液体となって溢れ出そうになる。  そのときだった。  我が目を見張るが、それでも現実はそうだった。  重かった足取りが急に軽くなる。  ステップをしそうな陽気も、すぐに消し飛んだ。  いつから待っていたのだろう。あいつのことだから、約束の一時間前には着そう。  何度も睨みつけ、変われ変われと念じた腕時計の針は、見るまでもなくわかっていた。  途端に、衝動のような感情の波に飲み込まれる。  嬉しさだった。そして、悲しみでもあった。それ以上に、自分のしてしまった過ちの大きさを実感した傷つきだった。  ――すべてを塗りつぶすほどの愛しさが溢れんばかりに僕を突き動かす。  何を言うかも決めていない。でも、今すぐ駆け寄ることに迷いはなかった。  後ろめたさはある。でも、それ以上に嬉しさでいっぱいで、二度となくしたくなくて。  そのすべてを伝えよう。その前に、深く謝ろう。  僕は最後の一歩を進み、雪の降り積もったあいつの肩を見つめる。  そっと、自分の差した傘にあいつを入れた。  雪が舞い落ちた。  ひらり、はらりと、無数の散り様。  雪たちは何を思い、何を想い、地面へと力なく落ちていくのだろうか。  その冷たさはこの上ない寂しさを表す。でも、僕にはそれがわからない。  ぎゅっと、手の中にある温もりを握り締めた。 May I watch only your smile? May I mention only your warmth? I promise that I offer you an umbrella all the time. Because I remove all of reasons that you grieve. The only apology that I have that became your sorrow