【タイトル】  ショートショートすと〜り〜ず【 必 】 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【ジャンル】  恋愛 【種別】  短編小説 【本文文字数】  2132文字 【あらすじ】  君と僕は愛し合っていた。君は常日頃から僕を罵っていて、それでも君は僕から離れなかった。だけど、ちょっとしたことからケンカした僕たち。君は僕たちの家から出て行って、僕はそれを追えなかった。悪夢のような一日、考えることは君ばかりで。唐突に、僕は駆け出した。君に会いたい、その衝動に突き動かされ、昔僕が住んでいた――あの部屋へと。 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************ There is not the eternal love. All wears out by all means. As for the eternity and the love that I promised. As for the bond that I promised all the time. But only this can say. I continue loving you in the name of permanency and immortality. For me who love you. For you whom I like me, and there is. ――永久の愛は存在しない。必ず、すべては擦り切れていく。永遠と誓った愛も。ずっとと約束した絆も。でも、コレだけはいえる。僕は、君を恒久と永遠に誓って愛し続ける。君を愛する、僕のために。僕のことを好きでいてくれる君のために――  荒くなった息。整える暇もない。  僕は目の前に聳え立つぼろぼろのドアをノックした。  自分の息が一回二回と呼吸を繰り返す。  カチャリという音が響くと、弾かれるようにしてドアノブを引いた。  開いた。だが、すぐにチェーンに狭まれる。  狭間から覗く彼女の表情は醒めていた。 「……何の御用ですか」  おもわずうろたえてしまう、拒絶の声。  それでも僕は口を開く。 「悪かった」 「………………謝るなんて、君がするなんてね」 「そうだな、僕も驚きだ」  今まで彼女に守れらてきた。僕ができるのは、少しでも強情になるだけで。  僕は意地悪く笑う。 「僕のほうが大人だからな」 「………………」  スベッた。  彼女の瞳は、問いにならない疑問を伝えてくる。 「憂。もう一度、俺といっしょにいてくれないか?」 「――私なんて必要ないんだよね、ならいっしょにいなくてもいいじゃない」  僕の鬱憤が爆発したときに、そのようなことを言ったのだろう。  それでも、彼女のいない生活は心細かった。 「でもな、お前のいない一日を送って、気づいたことがある。今で強情にやってきて、仕事もがむしゃらにやり続けて、その理由はなんだったのだろうか。 気づいたんだ、全部全部。お前を喜ばせるためだった」  正確には昔の恩返し。  それでも僕の気づいたことは、そんな皮肉じゃない。  純粋な――欲求。 「お前が笑ってるとこ、たとえ僕を罵るときでも、お前の笑顔はとてもきれいだった。 好きだ。全部が全部ってわけじゃないけど、お前が微笑んでいられるくらい――僕は強い男になりたいと、思った」  そんな気持ちすら、日常という汚れた世界に沈み込んでいた。  なくしてからじゃないと気づかないとはこのことだろう。  彼女の瞳に宿る光は揺らめいていた。 「罵ってくれてかまわない。わがままでかまわない。僕に構わせてくれ。そうじゃないと――僕は歩き続けられない」  憂の勇気を知っていたから、僕は歩き続けられる。  小学校のころ、運動会でラストスパートを決める僕は、その手前で追い抜かれた。  抜く力はなかった――それでも、憂は諦めずに応援し続けてくれた。  それに答えたいと思った。一心不乱に、憂の気持ちにこたえようと思った。  そのとき、ちょこっとだけど僕は変われたんだ。僕だけじゃ走り続けられない。でも、憂がいてくれたら僕は憂のために走り続けられる。  憂といっしょにいる、僕のために。 「……どうせ僕は臆病で、金もなくて、不安定で。お前だったら、金持ちの男と結婚できるかもしれないけど。 それでも、僕はお前にいてほしい」 「………………」  カチャリと音がした。  震えたように、慌てながらチャーンがはずされる。  僕が飛び出す暇もなかった。  彼女は僕の胸へと抱きついてくる。  かろうじてそれを受け止めきると、彼女の温かみを感じた。 「………………心許ないなぁ」  クスクスと笑った憂。  その瞳は今までのようにきらきらと輝いていて。  ――自然と抱きしめていた。  強く、強く。それでも、憂は拒まなくて。  僕が好きだといって伸ばし始めた髪を撫で、何度もその溢れる愛を発してくれた唇に、僕の唇を当てる。  それを拒まない憂は、両腕を僕の首へと回し、さらに身を近づけた。  もう二度となくさない。  なくした一日は悪夢のようで、もどってきた日々は幸せに溢れていて。  憂は僕の名前を呼び、僕は憂を呼び。たまには軽口を叩き合ったりして。  それでも毎日、僕たちは頑なに愛を伝え合う。溢れてしまいそうだから、抑えられない愛情だから。  君は僕にとってかけがえのない存在で、弱い僕を励まして走らせてくれる。  そんな君は、僕を選んでくれた。誰でもない、代わりのいない僕を選んでくれた。  恋しかった、愛しかった。小さくはにかむ君は、口にすることは少ないけど、僕は毎日君に伝える。  君が必要だから。君への愛は永遠で恒久、君が僕を求めてくれる限り僕たちは離れない。  僕は君を想い続けるから、僕は君だけを大切に走り続けるから。  君だけを愛する僕のために、僕は君とともに生き続けることを約束しよう。  There is not the immortality. There is not it absolutely. Therefore it becomes the pronoun of "the eternity" to continue yearning.  ――永遠はない。絶対はない。だからこそ、想い続けることが『永遠』の代名詞となる――