【タイトル】  ショートショートすと〜り〜ず【  抗  】 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【ジャンル】  恋愛 【種別】  短編小説 【本文文字数】  1201文字 【あらすじ】  僕は『彼女』を裏切ったらしい。何の脈拍もないけれど、『彼女』の中ですべては完結しているようで。僕はただ何もできずに、『彼女』を失った絶望を噛み締めた―― 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************  To love it. If the love does not arrive.――愛しているのに。それが届かないとしたら――  死にたい。死にたい。死にたい。  世界のすべてが歪んで見えて、世界に降り注ぐすべてが歪んで見えて、僕に重く圧し掛かってくるものは全部が全部重くて、足は棒のようで。  死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。  生きてる価値なんてないんだ。『彼女』が泣いてしまったから。  存在していてはいけないんだ。『彼女』が涙を流すようなことをしてしまったから。  死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。  もう歩けない。もうどこにもいけない。  全部失った。輝かしいもの全部失った。  何も欲しくなくなった。何も欲しいと思わなくなった。  だから――僕を死なせて。  死ぬことは開放だから。  生きることは束縛だから。  罪を背負ったままで、重い荷物を背負ったままで、愚者のままで、裏切り者のままで、生きたくない。  ただ『彼女』に気に入られたくて。  『彼女』のことが好きで。  『彼女』に悲しい表情をしてほしくなくて。  それだけで過ごしてきて、『彼女』の中にいったい何が降り積もっていってしまったのだろう。  僕の予想とはすべてが違っていた、かもしれない。  もどかしい、もどかしい、もどかしい。  全部なくしたのだ。いまさら何かを得ようとも思えない。  もう、悩むことも考えることも捨てたい。  でも――  すべては捨てられないのだ。  死にたいと思っても、死ねないのだ。  全部は捨てられても、すべては捨てられないのだ。  『彼女』との思い出――  『彼女』の笑顔――  捨てることはできない。確信は、ある。  自分の全部は捨てられても、自分を創る全部を捨てられても――『彼女』と僕を繋ぐすべてを捨てられない。  もどかしい。死にたいのに死ねない。もどかしい。  『彼女』はもう二度と微笑んでくれないというのに、『彼女』こそがすべてだと誓ったのに、『彼女』を失っても尚僕は生きている。  世界よ、早く滅亡してくれ。  腐った人間も、屑な人間も、僕も――すべてをなくしてくれ。  でも、『彼女』をなくさないでくれ。  ちょっとした我侭だ。もし叶えてくれなかったら僕は神様、アンタを殺す。  『彼女』だけがすべて――日常なんて『彼女』がいなければなりたたないというのに、僕はなぜまだ生きようとしているのか。 「それでも僕は……」  惨めでも構わない。  幻でも構わない。  ただ、『彼女』の名残を捨てることはできなかった。  だからといって生きることもできない。けれど、死ぬこともできない。  わからない――わからない。  死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。  生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。  すべてが±0になったら、僕はどう為れるんだろうか。  いえることはただひとつ。  『彼女』だけを愛する僕は――変わらない。  I will choose to give life.――永遠の愛を誓うことで、生きることを選びます――