【タイトル】  ショートショートすと〜り〜ず【  記  】 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【ジャンル】  恋愛 【種別】  短編小説 【本文文字数】  1270文字 【あらすじ】  ある日ある時に、ある娘が読んだある人たちの作文。 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************  私のお父さんとお母さんは、いっつも仲が良いです。  お友達のA君は言っていました。「いっつも細かいことでお父さんとお母さんは口げんかしてる」と。  でも、私のお父さんとお母さんはそんなことなくて、新婚さんみたいに恥ずかしいことを平然と私の前でしてたりします。  当然、離婚や不倫なんてあるはずがありません。お父さんは、お母さんのことがとっても好きだからです。  お父さんは私よりもお母さんを優先するし、私がお使いに出てお母さんに頼まれたものを忘れちゃったときも「お母さんのことだから〜」とか言って、的中させてます。  だから、お父さんはお母さんのことがとってもとっても好きなんだな、と思いました。  お母さんもそうで、お父さんの話をよくします。  お友達のB君は「長所を褒めるときは、お母さんは『お母さんに似たのね』て言って、お父さんは『俺に似たんだなぁ』て言うんだよ」と言ってたけど、私のお父さんとお母さんは違います。  私がひとつ凄いことをしたとき、お母さんはいつも「祐樹くんに似たんだね、偉い偉い」と言います。  お母さんもお父さんも、私が失敗したときですら、怒ったり怒鳴ったりしません。  お母さんは私をしっかり抱きしめて、「次もがんばろうね」「諦めちゃダメだよ」と言います。  お父さんはちょっと不器用だから、私を買い物に連れて行ってくれたりします。  でも、お母さんもお父さんも、私のことをとってもとっても大切にしてくれているんだなと、思いました。  きっとお父さんは不器用ながらもしっかりとお母さんに告白して、お母さんはそれをクスクス笑いながら受けたんだろうな。と思います。  少し前にけんかの話をしました。ひとつだけ、思い当たることがあります。  前に一度、私のたんじょうびプレゼントで口論になったお母さんとお父さんを見ました。  でも、口論といっても二言三言くらいで終わって、すぐにお母さんが折れます。  お父さんは苦しそうな顔をして、二度お母さんに謝ります。  お母さんは、お父さんの手をしっかりと握ります。  これだけです。お父さんはお母さんのことをしっかり考えてるけど、それでも、自分がある限り、けんかをしないなんてことはないんだと思いました。  結局私が助太刀して、私が選ぶことになったけど、二人とも私のことでけんかしてくれるなんて少し嬉しかったです。  そのときの私は、なんとなく、思ってやったんじゃないんだけど、お父さんとお母さんの手をしっかりと持って歩いてました。  突然のことだったのに、お父さんもお母さんも私を優しい目で見てきます。  その目がとっても綺麗で、見る人を幸せにします。  だから、私も、お母さんとお父さんのような優しい人になりたいと思いました。  でも、きっとムリでしょう。  お父さんが優しいのはお母さんがいるからで、お母さんが優しいのはお父さんがいるからで。  私は多分、お父さんとお母さんを超えるような優しい人にはなれないと思います。  超えられないけど、ずっとお父さんとお母さんは私の憧れで。  今のお父さんとお母さんがいることを、私は誇りに思います。  これで、お父さんとお母さんの作文を終わります。