ショートショートすと〜り〜ず【  瞬  】 水瀬愁 題名どおり。瞬間の煌き。 てか、文字数も瞬間的なまでな三桁。 瞬だし、いっか。私らしいや、アハハ〜☆(←バカ ******************************************** 【タイトル】  ショートショートすと〜り〜ず【  瞬  】 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【ジャンル】  恋愛 【種別】  短編小説 【本文文字数】  866文字 【あらすじ】  彼と私は恋人さん。周りにとやかくいわれるくらい、つりあわないらしい。でも、彼はそのことを気にしたりはしていないみたい。でも、でもね。私はわかる。彼はとっても気にしてるって。だから、私はいっつも彼を解す。大丈夫だよって、心の中だけで言ってあげる。温もりだけは、つながった手から届いてるだろうから。そんな日常の、ある夜の散歩のこと―― 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************  キスの瞬間に――  彼といっしょに歩く道。  月が澄んだ光を発していた。  彼と繋いだ手の温もりを確かなものと美化するように、空気が刺すような冷たさを伝えてくる。  離す、理由もないし。  握り返す、のも恥ずかしい。  しどろもどろ――空気の冷たさが私の頬を冷やしてくれている。  つながっていない片手が、物淋しく思えた。 「……ええと、さ」  私は彼へと振り向く。  すると、彼は覇気を失ったように口を窄めた。 「なぁに?」 「……その、やましいとかそーゆーのはなくて、純粋に思っただけなんだけど」  彼は横目に私を置いて、なんとか言葉を搾り出している。  必死なところも、可愛らしい。  微笑ましく思うけど、何を言いたいのかわからない。  彼の顔を覗き込む。彼は頬をほんのり赤くして顔を激しく逸らしてしまった。  むぅ、女のカンを働かせると―― 「……えっちなこと考えてる」 「なんでわかったの!?」 「ズバリ、女のカン♪」  呆けたように私を見ている彼へピースサインを向けた。  笑みが止められない。  ため息を吐いている彼の横顔を見て、閃いた。  こう、キュピーンと。  いや、シャキーンかな?  ともかく、意地悪な小悪魔さんが私に降り立ったということで。  まあ、彼も悪いの。私にほっぺた晒してるなんていう無防備な子だから。うん、これは不可抗力。だから―― 「……え?」  私と彼の距離がなくなったのは一瞬。  とっても甘い。味覚では何も感じないけど、すっごく甘い。  思わず含み笑いを浮かべてしまう。  彼の表情が真赤になるのを見届けると、鼻歌を歌いながらスキップしてしまった。  多分、きっとだけど。  私の顔も赤いのだろう。  彼にときめく私。  この時間が――とても幸せだ。  今度のキスはもっと彼に近くて、もっと甘かったらいいなと思う。  まだ私たちは大人じゃない。だから、いろんなことがわからないでいる。  見えないこともいっぱいあるけど、手の中にあることくらいはわかる。  それだけでも、いいか。  空を見上げる。  人工の光が強まった都会では、もう星空をみることはできないけど。  それでも、真丸(まんまる)のお月様が綺麗に輝いていた。  彼だけが私のすべてになる――