CROSS!〜物語は交差する〜 水瀬愁 想いを右手に握り締め、 意志を左手に抱留める。 それ以外はいらぬと、覚悟を胸に。 ******************************************** 【タイトル】  CROSS!〜物語は交差する〜 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【サブタイトル】  ♯03[そして"光"と"闇"が鳴動し始めた](第103部分) 【ジャンル】  恋愛 【種別】  連載完結済[全127部分] 【本文文字数】  4813文字 【あらすじ】  舞台は現代風の孤島『風宮島』。主人公は季節を巡って愉快なヒロイン達との物語を築いていきます。一番の見所であるヒロインは、可愛さ溢れて10人以上!諸所に導入されているバトルロワイヤルも必見です。ほのぼので、ちょっぴりえっちなひと時を、味わってくださいね♪紡がれる、自分の心――届くことを、伝わることを願って――CROSS紡がれた、自分の心――届いた、伝わった、心――想い人との愛を育む力となることを願って――CROSS 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************ 0. 「……ミレを風宮学園中等部に転校させる、だと?」 「うん」  コーヒーを啜る愛乃に、篠崎は眉を顰めた。 「ほら、私や陽菜ちゃん、奏ちゃん、エリィちゃんは、高等部の後半に来ちゃったわけだし。 危険視すべき中等部をほっときすぎかなぁって、思ってさ〜」  カップから立ち昇る湯気を視線で追いつつ、言葉を連ねる愛乃。  それを吟味し、飲み下した篠崎は口を開いた。 「……捜索範囲が狭まりつつある、と?」 「まぁね〜。一応、私が全範囲索敵してるわけだけど、所有者がいる場合の|あれ(・・)は引っかからないわけだし」 「しかし、それではミレが危険なのでは?」 「|あの機材(・・・・)と同じ次元のミーちゃんは、ボクたちよりも強い……あの娘にコネクトオンしたシノならわかってるはずだけど?」 「……まあ、そうなのだが」  顎を撫で、言葉を濁す篠崎。そんな彼に、愛乃は微笑みを向ける。 「必要なことなんだけど……だめかな?」 「……私のため、か?」 「君のためでもあるだろうけど、|君へ誓うボクのため(・・・・・・・・・)でもある」  コーヒーをテーブルに置き、立ち上がった愛乃は、ゆっくりと篠崎の足元に跪いた。 「ボクは、君への愛を証明するためなら、神をも殺す」  そう言った彼女は右のリボンをはずし。 「ボクは、君を守る神様となるためなら、何をも使う」  そう言ってまた、左のリボンをはずし。 「……|パソコン(・・・・)を完成させ、|シノを救うため(・・・・・・・)なら、ボクは総てを利用するさ」  揺るぎない蒼の瞳に、怖いくらいに暗い光を灯して、篠崎を見上げる。  篠崎は沈黙のまま、愛乃の頭を二度ポンッポンッと撫でた。 1. 「これからよろしくおねがいします」  という経緯で、2−zB教室内に転校生(ミレ)の声が響いたのだった。  CROSS! 3nd〜輝かんばかりの交錯を〜  第三話:そして、"光"と"闇"が鳴動し始めた 「……」  |2−zB(にねんゼビぐみ)の窓際隅に腰を下ろす拓馬は、不満げに舌打ちを漏らした。  気に入らない。  転校生という理由であっても、さすがにちやほやしすぎではないか。  そう、転校生の少女を囲むクラスメイト|達(ら)に言いたくて仕方がない拓馬は、やはり不機嫌に舌打ちを漏らした。  耐える拓馬。耐え続ける拓馬。チラッと大きな輪の中心にいる少女を盗み見た拓馬は。  ……ミレと目が合ってしまった。  思わず「うげっ」という声を漏らす拓馬。  無機質な瞳を細めたミレは、ゆらりと拓馬から視線を離しただけだった。  心を落ち着けた拓馬は、ミレの行動の意味を推測して汗を流す。  ……あいつ、俺を鼻で笑いやがった。  餓鬼大将でリーダーで成績も上のほうな俺を、コケにしたのだ。  拓馬は拳を固め、誓いを立てる。  ……格の違いってやつを思い知らせてやる。  その瞳には、暗い炎が宿っていた。 2.  ……作者です。  ここから先は、ちょっと書きにくかったって言うか、作者の力量不足でいろいろダメだった気がしなくもなくなくないって感じだったので、ちょっと変です。  といっても、変なのはAパート終わりまでなので、ご賞味あれ。ですっ。  ……え? お前の文章はいつも変だ?  きこえなーい、きこえなーい。まったくなーにーもーキコエナーイ。  ……きたときのシリーズなノリで、すみません。  すみま千円札といわないだけマシと思ってくださると嬉しいです――あ、今言っちゃった。てへっ♪  ……こんなことを本文に付ける私、ちょっと欝かもしれません。  でも、まぁ、気にならない程度の憂鬱感なので、気にしないでこれからも生きていこうと思います。  ……3ndをはじめてから読者数激減。  あ、いえ、なんでもないです、はい。  では、本編の続きをどうぞ。 3. 【格の違いを思い知らせてやる大作戦】テイクワン。 「うっそーん!」  二週間前から猛烈に勉強し満点を取った算数のテストを握り締める拓馬は、抜き打ちテストを五分で終わらせしかも満点だったミレに叫びをあげざるを得なかった。 【格の違いを思い知らせてやる大作戦】テイクツー。 「うっそーん!」  一年生の頃から毎日猛練習し精進した英語長文の発音でAをとった拓馬は、凄すぎるインとぅネーションを見せ付け「はなまる満点」をとったミレに叫びをあげざるを得なかった。 【格の違いを思い知らせてやる大作戦】テイクスリー。 「うっそーん!」  小学校時代から毎日練習し習得した爆転でマットの半分まで進んだ拓馬は、マットの端から端までを爆転以上の何かを含んで突き進んだミレに叫びをあげざるを得なかった。  コンクリに膝をつく拓馬は、ぜぇぜぇと喘ぎながらも嘲笑を浮かべていた。  その瞳は、未だ敗北を受け入れてはいない。  それどころか、その瞳はこれから得るであろう勝利に歓喜の色をみせていた。 「【格の違いを思い知らせてやる大作戦】テイクファイナル……」  それはただの悪あがきか。  今は、誰にもわかりはしない…… 4. 「やあ! CM担当パーソナリティ『諺兎(ことわざウサギ)』だぜAHAAHAAHA! ここ最近また寒くなってきてるけど、みんなは風邪ひいたりしてないかな? そんなオレッチは思いっきりひいちまったぜ〜……ハックシュン! 雪を見ると「ホワイトクリスマスだね、兄さん♪」なんて言葉を思い出すオレッチに、風邪薬とか気力とか分けてくれェ!!」 5. 「ツーアウト。塁はなし……」  新聞紙をキツク丸めた棒を何度か握りなおし、構えた拓馬は前を睨んだ。  セロハンテープをがんじがらめに巻くことでつくられた拳大ほどのボールをもう一方の片手で覆い、自らの前に構えたミレが、拓馬の視線に鋭いものを返す。 「……絶対に打つ」  その一言に応えるように、投球モーションをはじめたミレ。  拓馬の頬を汗が流れ行く。空間が緊張する。それを破るように、今、一閃の剛球が――  放たれた。  目を見開く拓馬。腕を振るい始める。途端に曲線を描き始める剛球。バットの圏外。拓馬の脳裏に空振りの文字が浮かんだ。 「……打つ!!」  強引に振るう方向を下へ。横に振るうのでは打てぬと確信し、拓馬は片手の力を緩め、もう片手に力を入れ。  ――拓馬は縦にバットを振り上げた。  カーブを描かんとしていた剛球は勢いを打ち殺され右方へ。己の横を駆け抜けたボールに、振り返ったミレはしかし、前へ向き直った。 「……ファウルですね」 「……そうみたいだな」  粉砕されたそうじ箱を横目に、拓馬も頷く。  ミレはスカートのポケットから、先ほどよりちょっとだけ小さなセロハンテープボールを取り出し、握りこんだ。 「こらぁぁぁぁあああああ!!」  が――突然二人の間に割り込んできた筋肉質な体育教師に、激闘の続行は止められてしまう。  鼻息荒く二人を睨むその教師は、盛大に大げさな溜息を吐く。 「お前達は、もう小学校気分でいていいやつじゃねぇってわかってんのか? 校長先生も言ってただろうが……てめぇらは中継学年なんだ。屑になるかどうかの大事なときなんだ。今がんばらねぇと屑になるんだよ、てめぇらはっ。 屑になりたいのかよ? そうじゃないだろ? ならこんな子供地味たことするのはやめろ。そうじゃなきゃ一生屑のま――」 「悪いけど」  教師の演説に割り込み、拓馬は動き出した。  飛び上がり、拳による一太刀を叩き込む。叩き込まれた教師は驚愕のあまりよろけてしまう。 「……邪魔しないで、いただけますか?」  その背後で、呟いたミレが教師の襟元を引っつかみ、腰を低く構え、グォンッ! という轟音が響きそうな勢いで教師を投げ飛ばした。  軽く宙を舞う体育教師は――しかし。 「るぁああああああああアアアアアアア!!」  両足を無理やりに着地させ、勢いをぶち壊した。  前かがみからゆっくりと起き上がり、鼻息荒く高笑いをあげる体育教師。  だが、次の瞬間――小さな呻きを漏らし、前に倒れた。  その背後で、投球終了時のモーションを解くミレ。 「……」 「……」  拓馬とミレは、顔を見合わせた。  そして――にかっと笑い合う。  今ここに、ひとつの握手によって友情の絆が示された。  巻き込まれることを嫌って静かに傍観していたクラスメイト達は、思う。  ……いや、なんで仲良くなったの?  そして、作者は思う。  ……や、そこはご都合なんで突っ込まないでくれッチョ☆ 6.  ――なぜ雪は白いのだろう。  ――なぜ桜は儚いのだろう。  ――なぜ想(おもいで)は薄れ行くのだろう。  紅蓮の月に手を伸ばし、金髪灼眼の少女は嘆きの声をあげた。  鉛色の空が彼女の壮麗を際立たせ、死して朽ちる台地が彼女の生きる様を美麗と際立たせる。  彼女は、天を駆けていた。  何にも縛られることなく、自由を勝ち取ってのその自由さは、彼女を飾る双翼を断然輝かせている要素として欠かすことはできないだろう。  彼女は、天を舞っていた。  哀しみを訴え表すかのようなその鮮やかは、見る者の目を奪うほど。  彼女は、天を泳いでいた。  ゆったり、しかし一瞬にして進み行くその煌きに、人は素晴らしいという賞賛の言葉を思い浮かべることだろう。  故、彼女は海原を泳ぎ行くマーメイドのようで、蒼穹を飛び行くバタフライのようで――美を体現し、醜を真反対とする女神のようであった。 「……」  彼女はいきなり目線を彼方へと向け、身を捻る。  突然の急変化は――舞という平穏の終わりを、告げるものであった。  轟音を滾らせ、悪意を漲らせ、空を斬り進むは一筋の黒。  黒は、彼女が舞い続けていれば通っていただろう道筋を豪速で突き抜けていった。  風圧で舞い上がる、少女の金髪。高速の黒を容易に見つめる少女の瞳は、さらに少しだけ細められた。  そして、少女は一歩を駆ける。  "激闘を予感させる一瞬目――\\"  黒が曲線を描いて少女へ再び飛来する。  己から近づくこともあり、先ほどよりも高速な黒はしかし、またも少女に避けられてしまった。  だが――黒は、同じ行動を二度も行わなかった。  すぐさまの急停止。まだ少女が身を翻しきっていないこの瞬間、黒は少女に近いほうの先端から少女へと動き出した。  初速から最高速度の、鋭い打突。それは少女の腹部へ飲み込まれんとして――  糸も簡単に、片手で捕まえられた。  黒の打突は、風の牙と喩えていいほどに手で掴めぬものとなっていた。しかし、少女はしっかりと、黒の打突を正面から捕まえている。普通ならば手のひらがくりぬかれていることだろう。だが。  ここに、この次元に、在り得ないことが起こらないなど、在り得るはずがなかった。  "殺戮を確信させる二瞬目――\\"  少女の五指から逃れんと、畏怖の様子を見せて蠢き始める黒。  しかし少女は五指の力を強め、黒を逃しはしない。 「『確立――』」  少女の呟きが、響き渡る。 「『対象因子捕縛爆砕消失討滅活動』」  そして、黒は。  不思議な揺らめきを、オーロラのようにして。  ――消え失せた。  ――なぜ雪は白いのだろう。  ――なぜ桜は儚いのだろう。  ――なぜ想(おもいで)は薄れ行くのだろう。  紅蓮の月を見上げ、金髪灼眼の少女は嘆きの声をあげた。  少女は、その容姿には不釣合いに豊満な自身の胸に手を当て、言う。 「ボクは、君への愛を証明するためなら、神をも殺す」  そう言った彼女には、右のリボンはない。 「ボクは、君を守る神様となるためなら、何をも使う」  そう言った彼女には、左のリボンもない。  あるのは、己を生かし動かし進ませる覚悟のみ。 「……|パソコン(・・・・)を完成させ、|シノを救うため(・・・・・・・)なら、ボクは総てを利用するさ」  揺るぎない紅(あかワイン)の瞳に、怖いくらいに暗い光を灯して、少女は紅蓮の月に目を細めた。       ○  ○  ○ 「この雰囲気を壊さない程度に……CM担当パーソナリティ『諺兎(ことわざウサギ)』だ。 今回を書いてるうちに、話の核部分が構想できたようなので、その様子をさらりと下に書き込んじゃうらしいぜー。心してみろよー。 ・以下作成中。 ……あー、ごめん。まだデータが届いてないみたいだ。こりゃ失敬AAAHAAHAAHA! 」