CROSS!〜物語は交差する〜 水瀬愁 ほんとにスモール。 ******************************************** 【タイトル】  CROSS!〜物語は交差する〜 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【サブタイトル】  『スモールサイドすと〜り〜』(第51部分) 【ジャンル】  恋愛 【種別】  連載完結済[全127部分] 【本文文字数】  862文字 【あらすじ】  舞台は現代風の孤島『風宮島』。主人公は季節を巡って愉快なヒロイン達との物語を築いていきます。一番の見所であるヒロインは、可愛さ溢れて10人以上!諸所に導入されているバトルロワイヤルも必見です。ほのぼので、ちょっぴりえっちなひと時を、味わってくださいね♪紡がれる、自分の心――届くことを、伝わることを願って――CROSS紡がれた、自分の心――届いた、伝わった、心――想い人との愛を育む力となることを願って――CROSS 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************ 『スモールサイドすと〜り〜』  朝。  起床した僕は、いつもとは違うことをしてみたくなった。  とりあえず冷蔵庫にあった温泉玉子を三つほど割り、ジョッキにいれ、ゴクゴクと飲む。  生タマゴを飲む勇気はない。鳥なんとかとかが恐いからね…… 「さて、と」  いつもよりも大分早い朝だ。寝ている者にいろいろできちゃう特権を得ていることになる。  ターゲットは一人……片瀬祐。  久しぶりにあの部屋へ足を踏み入れてみようと思った。  ぐっすりと眠り続ける祐の前まで無音で忍び寄ると、やることがなくなってしまった。  地毛といわれつつもカツラだと思い続けていた髪がベッドの上で華開いているのを悶々と見つめ、ポンッと良い案を思いついた。  ポケットに入れていたウサ耳を取り出す。  真剣さ百パーセント。授業中でも稀にしか見せない表情で祐の鼓動、表情、身動ぎに注意を集中しつつウサ耳を取り付ける。  離れて観賞し、再度近づき若干角度を修正。  それを何度か繰り返したとき、グッとガッツポーズをした。  取り返しがつかなくなった。  どうするか――取り外す勇気はないといっておく。  滲み出てくる冷や汗の下、ポンッと良い案を思いつく。  ウサ耳と同じく持ち歩いていたデジカメを取り出し、パシャパシャと取る。取りまくる。  連続するシャッター音のせいか、ううっと唸って祐が起きた。  僕を見た祐は般若だったのでヒィィィッ! といいつつ逃げ出したくなる。そんな柄ではないのでやめておく。  僕は爽やかなデジカメを突き出した。 「いやぁ、これで常備する写真が決まっ――ああっ!!」  祐の実力は神速でデジカメを奪いまっぷたつにできるほどだということを忘れていた。  手の中にあった機器の感触を思い出そうとするが、空を切っている事実が突きつけられたたけだ。 「……ねぇ、お兄ちゃん♪」  声は上機嫌だ。表情と完全分離している。  明暗というところか。聖魔といったほうが良いかもしれない。  僕は天井をぼんやりと見つめ、走馬灯のように駆け巡るいろんな角度から見たウサ耳祐のひとつひとつを永久保存させる作業に没頭する。  唐突にすべてがブラックアウトしたのだった。