CROSS!〜物語は交差する〜 水瀬愁 CROSS! An after story〜こうして物語は交差した〜(CAAS)にて風宮島シリーズ復活です♪ 結構短めなのは中編だからですよっと。 ******************************************** 【タイトル】  CROSS!〜物語は交差する〜 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【サブタイトル】  ≪僕のピアノと、女の子−出会−≫ (第66部分) 【ジャンル】  恋愛 【種別】  連載完結済[全127部分] 【本文文字数】  1480文字 【あらすじ】  舞台は現代風の孤島『風宮島』。主人公は季節を巡って愉快なヒロイン達との物語を築いていきます。一番の見所であるヒロインは、可愛さ溢れて10人以上!諸所に導入されているバトルロワイヤルも必見です。ほのぼので、ちょっぴりえっちなひと時を、味わってくださいね♪紡がれる、自分の心――届くことを、伝わることを願って――CROSS紡がれた、自分の心――届いた、伝わった、心――想い人との愛を育む力となることを願って――CROSS 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************ 「例えばさ。自分の彼女がいきなり自分を避け始めて、普段は全然しないような化粧をして朝帰りの毎日……とかいうシーンに直面したらさ、片瀬君はどうする?」  いきなり何を言い出すのかと思えば。 「出かけさせない。それか、いっしょについてく――どちらにしても、放っておくなんてできないよ」 「ふぅん……」  どうしたんだろ、美月さん――アイスクリーム、ほっぺについてるよ。 『CROSS! An after story〜こうして物語は交差した〜』 ≪僕のピアノと、女の子−出会−≫  公園はのどかで良い。  上がる噴水を見る僕は、ツンツンと頬を突かれた。  振り返る――美月さんが、首をかしげていた。 「噴水が、どうかしたの?」 「ん……水圧にちょっとした誤差を感じてさ」  なんつー出任せだ、自分。 「え!? そんなのわかんのかよっ!?」  ……美月さん。なんで食いついてくるんだ。  僕は両腰に手を当て、胸を反らす。 「僕をなめるな。そんなのな――わかるはずないじゃん」 「ががーん。だぁまぁさぁれぇたぁ……」  少し涙に潤む目を丸くしてうなだれる美月さんは――少し、少しだけ、おもしろい。  笑いそうになりつつも、あることに思い当たった。  ――口調が変わってる?  同時、美月さんと目が合った。  なぜか空気が緊迫して、意味もなく『ミスったかぁ』などと考えてしまう。 「オ、オホホホホ……」  美月さんが目を離し、妙に高い調子の笑い声をあげはじめた。  少し――いや、大分、わざとらしいと言わざるを得ない。この口調誰のだったっけかな? 「……ごめんね」 「え?」  いきなりペコリと謝った美月さん。  僕は美月さんの意図が掴めなくて、思わずすっとんきょんな声をあげてしまう。  美月さんは顔を上げて、小さな声で呟き始めた。 「私、女なのにあんな口調……しかも、ハイテンションでさ……周り見えなくなること多くて…………やっぱり、引くでしょ? こんな、豪快な性格した男女だとさ……だから、無理に付き合わせてるんじゃないかって――」 「ああ、悪(わり)ぃ」  割り込むのはいいとして……なんでワル口調なんだ。僕。  ほら、美月さんも驚いてるじゃないか。 「コホン――その、さ。辛気臭い話は好きじゃないから……じゃなくて、折角二人で遊びに来てるんだから、もっと、こう、明るく……ね? うん。楽しく行こうよ」  そう、それがいいんだ。思考しながら言ったにしては上出来だぞ、僕。 「それに……美月さんのハイテンション、僕は嫌いじゃないから」  どちらかといえば好きなほう――親しみやすい、っていうか。  確かに、お淑やか〜な女の子が理想っていえば理想だけど。友達にするなら、お互いはっちゃけられるほうが断然良いだろうし。 「え? ええ? えええ?」  クリッとした目を瞬かせて、マジ? とアイコンタクトを送ってくる美月さん。  これは……『本気と書いてマジです。ぶっちゃけてのマジです』とでもアイコンタクトを返すべきなのだろうか。 「まあ、僕の勝手な意見だからさ。美月さんの気持ちも考えてな――」 「そんなことないよ!? うん。片瀬君の意見は尤もだよ?」  美月さんは、自らの胸に手を当てて、僕に真剣な眼差しを向けていた。  その表情は堅くなくて、むしろ柔らかい――笑顔。  僕はほっと胸を撫で下ろした。 「じゃあ、美月さん」  促す言葉に含まれる意味を、美月さんは受け取ってくれたようで。 「ああ、うん――片瀬君」  いや、と言った美月さんは、今までで一番明るい笑顔を浮かべていて。 「愁……オレはオレで行くから。覚悟してくれよ?」  それがとても眩しくて。 「……うん。美月さん」  僕は、顔を顰めてしまった。  笑みの形に――なんていうのは、少しポエムすぎるかな?