【タイトル】  CROSS!〜物語は交差する〜 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【サブタイトル】  朝起きたときの話5(第72部分) 【ジャンル】  恋愛 【種別】  連載完結済[全127部分] 【本文文字数】  1113文字 【あらすじ】  舞台は現代風の孤島『風宮島』。主人公は季節を巡って愉快なヒロイン達との物語を築いていきます。一番の見所であるヒロインは、可愛さ溢れて10人以上!諸所に導入されているバトルロワイヤルも必見です。ほのぼので、ちょっぴりえっちなひと時を、味わってくださいね♪紡がれる、自分の心――届くことを、伝わることを願って――CROSS紡がれた、自分の心――届いた、伝わった、心――想い人との愛を育む力となることを願って――CROSS 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************  朝起きたときの話  愛  負担  ムースポッキー 「ふと思ったんだけど、弟君からの愛情表現が稀な気がするのよねぇ」  前回キスしただろうが。 「あれは私からでしょ? 弟君から、こう、抱きついてきたり〜ぎゅってしてきたり〜すりすりってしてきたり〜、そういうのがまったくない気がするの!」  抱きつきにぎゅっにすりすりっ……全部同じな気がするのですが? 「細かいことは気にしちゃやぁよ♪」  ……さいですか。 「お前が熱烈だから、俺はそれで満足してるんだよ」 「それじゃだめなの!」  美姫が立ち上がった。 「人生は一回きり! こうやって話してる間にも、弟君との幸せな時間は減ってってるの!! もぉっとらぶらぶしないとだめなのぉ♪」  声がとろけてるぞ、美姫。 「じゃあ何か? お前は俺に、愛を育むための多大なる労働力を負担しろと? お前は疲れちゃったってわけか? そうなのか?」 「誰もそんなことは言ってないもんっ! 私が弟君にらぶらぶ〜ってするのに飽きたりするはずがないでしょ!? 私は弟君とらぶらぶ〜ってするために生きてるようなもんなんだからね!?」  ……そうはっきりいわれると、何か恥ずかしいものがあるというかなんというか。  ぶぅっと頬を膨らませる美姫へと、俺の崇拝する菓子ムースポッキー様を突きたてた。  ……あ、かぶりついてくるのがおもしろい。  こう、なんというか、金魚にえさを撒いてる感じというか、ゾウに餌をやってる感じというか。 「それに、らぶらぶ〜ってするのは負担しあうようなものじゃないだからね?」 「ん? ――ああ」  俺の手から離れたポッキー君を口へとパリパリ入れていく美姫が、そう抗議してきた。  まったく、変なところで細かいな。  そんなこと――わかってるっていうのに。  わかってるのは当たり前、っていうか。  愛は、美姫からの一方通行なわけじゃない。  ……ふむ、教えてやらねぇと、ダメか。  ニヤつきそうになる。ぎりぎりと押しとどめる。俺をおちょくる美姫がとても輝いて見える理由が少しだけわかった気がする。  もっと美姫の気分を味わってみても――いいよな?  いいはずだ。いいに決まってる。そうと決まれば、実行あるのみ。 「そんなこと、わかってるに決まってんだろ?」 「ほんとかなぁ――」  不満げに俺へと顔を寄せようとした美姫。それよりも速い速度で顔を近づける俺。  見る。美姫の瞳。その奥にいる自分――美姫の、驚愕の想い。  離れる。ぽけぇっとしている美姫へ、俺はしてやったりという笑みを浮かべ、言う。 「――ほんとだ。彼氏をそう簡単に疑うんじゃない。俺が信じられないのか?」  しゃべる度に絡み付いてくる甘さは、まだ美姫が食いきっていなかったムースポッキーのせいか。  でも――次食べるムースポッキーは、これよりも甘くはないだろう。