【タイトル】  CROSS!〜物語は交差する〜 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【サブタイトル】  朝起きたときの話6(第73部分) 【ジャンル】  恋愛 【種別】  連載完結済[全127部分] 【本文文字数】  2562文字 【あらすじ】  舞台は現代風の孤島『風宮島』。主人公は季節を巡って愉快なヒロイン達との物語を築いていきます。一番の見所であるヒロインは、可愛さ溢れて10人以上!諸所に導入されているバトルロワイヤルも必見です。ほのぼので、ちょっぴりえっちなひと時を、味わってくださいね♪紡がれる、自分の心――届くことを、伝わることを願って――CROSS紡がれた、自分の心――届いた、伝わった、心――想い人との愛を育む力となることを願って――CROSS 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************  朝起きたときの話  電話  遠隔操作  万華鏡 「スネーク。君を塩焼きにすればスタングレネードの補給と狙撃兵の数の探知が遂行できるかな?」 「塩がもったいないからやめとけ」  スネークと呼ばれたのが自分だと認識しないのがコツです。  日曜日の朝。起きた瞬間に今日から学校だと思ったら思い違いだったと気づいてまだ休めるってことにヤ〜ホ〜ヤ〜ホ〜っと良い気分だったのに。  この電話のせいで気分は最悪極まりないです。 「まあ、そう言うでない」 「言ってない。失せろ御劉」 「前々回くらいでこの俺が役を務めてやったことをおぼえているか?」 「お前を殺したおぼえはあるな、失せろ御劉」 「声だけの出演であったのが少々ほど心残りでな……我輩の才能を読者の皆様の目に焼き付けぬ失態を今ここで補おうと思ってな――」 「美姫に続いてお前がイメチェンか? 我輩野郎? 失せろ御劉」 「今回の話を書き換えさせてもらったッ」 「乗っ取っていいのかよ!? ってか少し凄いよすげぇよお前!? でも失せろ御劉」  とりあえず適当に褒めて機嫌よくしてからぶち切りに決定。でもやっぱ失せろ御劉。 「ふふふ……同士よ、お前は私を過小評価している。作者の権限を奪ったのだから、お前を遠隔操作することもたやすいのだよッ!」 「何っ!?」  手が、手が動かない……口は動くのに手は動かない……なんというご都合な遠隔操作。 「そこは突っ込むな、霧消に悲しくなる」 「そうか、わかった」  なんとなく頷いてしまったのだが、突っ込まないと話が前に進まない気がするのは気のせいなのだろうか。  というか。 「御劉……思ったんだけど、さ」 「なんだ?」 「今回も声だけだよな?」 「……」  ぅぉぉぉ……なんていう呻き声を受話器が拾ってくる。どうせなら拾ってほしくない。  共感できる。だが馬鹿と罵る以外に、俺にできることはない。  なら黙ってるほうがいい――何も言わず、御劉が立ち直るのを待つ。  ぜぇぜぇという激しい息遣いを聴覚が捉えたことで、御劉が立ち直ったことを知った。 「とにかく……お前にひとつ聞きたいことがある。いや、聞かなければならない。この回を乗っ取れたのもその条件を飲んだこそなのだから、私は作者の命に従わなくてはならない!」  その時点で乗っ取りじゃないだろ、なんていう呟きは即座に飲み込む。  御劉が馬鹿になったのは多分幸せすぎるからだろう。良いことだと思い込んでおく。  こっそりと真紀恵に溺愛してるからなこの男は……暖かい目で見守っていてやろう。それが悪友もとい親友である俺のできることだ。 「妙なことを考えていたのはスルーしてやる。だから訂正しろ」  また御劉に心を読まれてしまったようだ。なんだか必死っぽい。  怒りにわなわなと震えているのが電話越しでもわかる。なんつうか……熱気? 覇気? とにかくそんな第六感を刺激するようなものが伝わって―― 「俺だけが溺愛しているのではなく、真紀恵もこの俺に溺愛していると訂正しろ」 「わかった」  いないことに俺は確信を得た。  なんとなく下がったテンション。受話器を下したい衝動に駆られる。  無駄な日曜を過ごしていると言わざるを得ない。時間の無駄だ。やっぱ失せろ御劉。 「……それで、だ」  御劉の声色の変化。微々たるもの。しかし俺は感じ取った。 「お前は――今満足しているのか?」 「ん――」  なんだ、そんなことかと。愚問だと、俺は思う。 「当たり前だろうが」  そう言って、しかしそれだけではダメな気がして、付け加える。 「美姫、いつも笑ってくれるんだ。怒って頬膨らませてるときでも、なんだか楽しそうでさ――万華鏡ってのが、喩えとして一番なのかはわかんねぇ。 幸せなのは変わらないけど、だけど毎日違う笑顔を浮かべてはしゃいでる美姫を見るのは――俺の願い通りだ」 「……そうか」  俺の返答に満足したらしい御劉。俺はニヤリと微笑んで、口を開いた。 「御劉、お前にひとつ良いアドバイスをしてやる。女ってのは掴むだけじゃだめなんだ、ちゃんと引き寄せねぇとな。そこで引込思案になっちゃだめなんだ――まあ、お前んとこは大丈夫かもしんねぇけどな」 「無論だ。俺は常に捻りを加えて揉みしだいている」  それは、なんか違う気がする。  なんとなく会話も続かなくなって、どちらからでもなく言った。 「じゃあな」 「それではまた会おう、同士よ」  そして――多分だけど、同時に、受話器を置く。  俺はふぅっと伸びをして、ひとつの足音を聞いた。  軽い足取り。細かいテンポ。美姫だと思う。なんでなのかは――言葉に表せはしないけれど、美姫だと思う。  予感。美姫が来たら、素晴らしい楽しさに身を沈められる予感。これもちょっとした依存かと、思わず漏れる笑み。  足音が止まって、俺の前に足音の主が来るその瞬間まで――俺は幸せについて考えてみた。  そして、結論。  胸高鳴る、自分の炸裂できる、素晴らしく輝かしい毎日が、俺にとっての幸せ。  結構当てはまってる、よな? ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 「はい、というわけで夜更かしさんのお休みの時間、次回予告のコーナーだよ!  次はずっと私のターンどころか出演すらさせてもらえなかったよねー、ディレクターのせいだから批判メールは迷惑メールと取っとくので容赦しないわよ。作者がペンネームを変更するかしないかで悩んでいたとしてもそんなの関係ねぇッ! はいク・ロ・スゥ♪   とまあそんなこんなでお送りしますこのコーナー! 次回のタイトルは『朝起きたときの話7』。強かに潤うにくだらない、三つのキーワードが織り成す物語はどたばたコメディにも優るとも劣らないギャグコメっすよ! 多分!   それはそうと、一通のお知らせが私に届いてるんだよねー。パパッと読んじゃうわよー。作者が病養生活開始のため土・日・月および祝日のみの更新……って、うっそーん!? せっかく毎日更新できてるのにやめちゃうの!? そんなの断固はんたーい。みんなも作者に反対コメントを何十通も送り付けちゃおう♪ 評価を付けてくれてたりすると作者が元気になるかも?  というわけで以上、お相手は作者の都合により奈奈氏のまま登場な『可愛いあの娘なわ・た・し』でした! 次もずっと私のターン!」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇