【タイトル】  CROSS!〜物語は交差する〜 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【サブタイトル】  朝起きたときの話7(第74部分) 【ジャンル】  恋愛 【種別】  連載完結済[全127部分] 【本文文字数】  2153文字 【あらすじ】  舞台は現代風の孤島『風宮島』。主人公は季節を巡って愉快なヒロイン達との物語を築いていきます。一番の見所であるヒロインは、可愛さ溢れて10人以上!諸所に導入されているバトルロワイヤルも必見です。ほのぼので、ちょっぴりえっちなひと時を、味わってくださいね♪紡がれる、自分の心――届くことを、伝わることを願って――CROSS紡がれた、自分の心――届いた、伝わった、心――想い人との愛を育む力となることを願って――CROSS 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************  朝起きたときの話  強か  潤う  くだらない 「こたつの温度強すぎやしないか?」 「…………へ?」  なんとなく和室な物を置いてみて、というか元から置いてあった家具調テーブルに付けてみて、胡坐なんか掻いてみたりしたのだが、いかんせん足が焼けそうだ。ズボンはアイロンにかけられた後のような臭いを発しているに違いない。  それへの対処として言ってみたのだが、なぜか優衣にぎょっと驚かれてしまった。  おそるおそる、寂しげで不安げな眼差しを俺に向け、優衣は言った。 「このこたつ、スイッチ入ってませんよ」 「…………へ?」  次にすっとんきょんな声をあげたのは俺だ。  だって、だってさ、この熱さは嘘じゃないんだ。マジなものなんだ。  パッとこたつ布団を舞い上げる。 「…………」 「あ、あはははは…………カイロ三つくらいなら、分けたげるけど?」 「全部俺の上に置いてるくせして何を言う」 「ごめんちゃい♪」  美姫だった。  優衣が俺の隣へ移動し、美姫を覗き込んで言う。 「そんなところにいるとお肌が乾燥しちゃいますよ……?」  びくっと肩を震わせ反応した美姫が、のそのそとこたつより身を引きずりだした。  わなわなと、しかしグッと力強く拳を作り、言う。 「お肌はちゃんと潤しとかないとねっ!」  へぇ。美姫でもそういうこと気にするのか。  そう思った途端、優衣と顔を見合わせていた美姫がぐるんと俺へと振り返ってくる。 「私だけじゃなくて、みんな気にしてると思うけど? っていうか、気にするのが普通です!」 「は、はぁ――さいですか」  顔をグッと近づけて言ってきた。  その迫力に負けて思わず頷いてしまうが、しかし疑問を抱かずにはいられない。  そんなに細かく気にしなくても、美姫は断然可愛い。ちょっとやそっとじゃその感想は変わらないと宣言していい。  優衣もそれに優るとも劣らずだし、みんなもそう――ってか、俺の周りには美少女が多いなオイ。  とまあそんなことはどうでもよろしく、肌のことなんか粘着質に気にせずとも美姫は可愛すぎるってことを言いたいわけだ。  そう思った途端、美姫は少しだけ瞳を揺らした。  そして、言う。 「弟君の絶賛する可愛らしさというのも、私の毎日のちまちました努力によって保たれているんですよ。わかりますか?」 「ん……なんとなく」 「優衣ちゃんだって、弟君に見惚れてほしいなぁ……なんて思いながら日に日に美しく花咲いていってるんだからね?」  それは初耳だ。  顔を真赤にしてポカポカと美姫を非難している優衣を見たところ、ほんとのほんとらしい。 「でも、なんで俺なんだ?」 「それは――って、弟君。ほんとにわかんないの?」  ごめん、マジでわからないよ。  なんで兄である俺を見惚れさせなくちゃならないんだ。なんかの賭けかそれは。としか思いようがない。  そう思った途端、美姫は大げさに溜息を吐いてみせた。 「恋する乙女は綺麗になる。なんて言葉を聞いたら、少しはわかるんじゃない?」 「ん――」  思案。すぐに収束。  わからない。っていうか優衣と俺は兄妹なわけだし、恋って無理なわけだし。  ヒントを出されたせいで余計にわからなくなった気がする。  そう思った途端、「弟君はぽけぽけさんなんだから……」なんて言いつつ美姫は細い微笑を浮かべた。  ちょっと負けた気がする。  しゃくだ。実にしゃくだ。漢字がわからないので、癇に障ったと表し直す。  そして、閃いた。  俺は衝動のままに美姫の両肩へ手を置く。 「――ってことは、だ」  くだらない対抗心だ。  とてもくだらない。だが、くだらないからなんだと俺は問い返せる。それほどに、俺はこのくだらないやり取りが好きだ。くだらないとも思える会話に幸せを感じている。自分の感性は正しいと思っている。  だから、言おう。  くだらない日常の一コマを創りえてくれる、言葉を。 「俺に恋しろ。何度でもいい。そうすれば、お前は肌のことなんて考えなくてすむ――なんなら、人を恋させるまじないをかけてやろうか?」  なんとなく舌なめずりを交える。視線は、美姫の唇へ。  そこまで認識できたらしい美姫は、ぼっ! と顔を沸騰させた。  へなへなと優衣へと崩れ落ちる美姫。  勝った。心の中だけでガッツポーズ。どうやら、まじないは次へ持ち越しらしい。  ふと、こたつを見て思う。  真冬が来たらどうかはわからないが、冬の浅い今はまだオンにしなくてもいいだろう。と。  三人で過ごすこの家は、冬の寒さに負けないほどに温かいのだから。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 「はい、というわけで夜更かしさんのお休みの時間、次回予告のコーナーだよ!  昨日のお便りはナシってことなのかだって? そんなわけないない♪ 明日は多分更新はなし。読者のみんなも思う存分休日しちゃおー。平日なのは気にしちゃめっだよ!  とまあそんなこんなでお送りしますこのコーナー! 次回のタイトルは『朝起きたときの話8』。一人の夜に何をしてるの? に松葉杖、三つのキーワードが織り成す物語はどたばたコメディにも優るとも劣らないギャグコメっすよ! 多分! どちらかといえばエロスな感じだよねー。え? そう感じるの私だけ? いやーん、私ってやらしい娘!   というわけで以上、お相手は作者の都合により奈奈氏のまま登場な『可愛いあの娘なわ・た・し』でした! 次もずっと私のターン!」