【タイトル】  CROSS!〜物語は交差する〜 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【サブタイトル】  朝起きたときの話17(第90部分) 【ジャンル】  恋愛 【種別】  連載完結済[全127部分] 【本文文字数】  924文字 【あらすじ】  舞台は現代風の孤島『風宮島』。主人公は季節を巡って愉快なヒロイン達との物語を築いていきます。一番の見所であるヒロインは、可愛さ溢れて10人以上!諸所に導入されているバトルロワイヤルも必見です。ほのぼので、ちょっぴりえっちなひと時を、味わってくださいね♪紡がれる、自分の心――届くことを、伝わることを願って――CROSS紡がれた、自分の心――届いた、伝わった、心――想い人との愛を育む力となることを願って――CROSS 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************  朝起きたときの話  tomorrow  写真のネガ  カミソリ  忘れ切っていた。  今年一年のいろいろを収めたカメラより、フィルムを取り出す。  なんとかフィルムケースに入れ終え、息を吐いた。  さて、写真屋までこれを持っていかなければならないわけだが――今は冬だ。  外では、凍えた風が駆けて人々を苦しめているであろう。冷たさが痛みとしか感じられない苦しい季節なわけだ。  ……出かけたくない。  本音はその一言。なんだって写真のネガごときのために出かけなくちゃならないんだ。俺は自室、ぶっちゃけこたつに籠もっていたい。  ――よし。  リビングへと歩く。ドアを開ける。美姫と優衣が並んでテレビを見ていた。とってもぬくぬくとしていそうだった。  コホンと咳払いをしつつ、美姫に歩み寄る。 「美姫。君にミッションを与える」  そして投球。  さっと身を翻し、逃げ出すように駆けようとして――ガッと腕を掴まれた。  舌打ち混じりに振り返る。 「……なんでそう、めんどくさいことはお姉ちゃんに渡しちゃうのかなぁ。そういうの、弟君の悪いとこだよ?」  今にも歯軋りしそうな顔で言う美姫。  だって……めんどくさいんだもん。  自らの平穏なる日常のため、俺は叫んでみることにした。 「美姫! 俺にはやらなくてはいけないことがあるんだ!!」 「何? 言ってみて?」 「髭剃り」 「間違ってないようで間違ってるよ!?」  電動カミソリが俺を呼んでいる――ッ! 「離せ、美姫! 俺は髭の深剃りという重大な使命が――」 「……ふふん、じゃあこうしよっか♪」  美姫は意地悪に微笑んで、言い始める。 「私と優衣ちゃんが丹精込めて弟君のお髭をソリソリしてあげるから〜その後はいっしょにお出かけしよッってことで♪」 「何で!?」 「なんで私も強制参加なんですか!?」 「私が弟君のお髭を剃りたかったり、弟君とデートしたかったりするからです!」  自己中心的理論の展開――勝ち誇られても反応に困る。  優衣と顔を見合わせた。  ……溜息を吐き合う。  でも、優衣の表情はどこか楽しそうで。  そういう自分の顔も、多分―― 「トゥモーロー! トゥモーロー? トゥモーロー♪」 「感情の込め方を変えて遊ぶな。名曲に謝れ」  イェーイなどとはしゃぎまわっている美姫を見る俺の顔は。  優衣と同じように、どこか楽しげなのだろう。