【タイトル】  CROSS!〜物語は交差する〜 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【サブタイトル】  朝起きたときの話19(第92部分) 【ジャンル】  恋愛 【種別】  連載完結済[全127部分] 【本文文字数】  914文字 【あらすじ】  舞台は現代風の孤島『風宮島』。主人公は季節を巡って愉快なヒロイン達との物語を築いていきます。一番の見所であるヒロインは、可愛さ溢れて10人以上!諸所に導入されているバトルロワイヤルも必見です。ほのぼので、ちょっぴりえっちなひと時を、味わってくださいね♪紡がれる、自分の心――届くことを、伝わることを願って――CROSS紡がれた、自分の心――届いた、伝わった、心――想い人との愛を育む力となることを願って――CROSS 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************  朝起きたときの話  枝毛  高く飛ぶ  可視光線 「うう〜枝毛できちゃってるよ〜」 「……」  悲鳴をあげる美姫。それを見下ろす俺。  いつも思うのだが、なんでこう美姫はテンション高いのだろうか。 「よよよよよ〜」 「……」  わざと子供っぽく振舞っているとしか思えない。ほんとうに天然素材なのだろうか。  まあ、それも含めて『お姉ちゃんぶる』キャラなのだといわれたら、何も言い返せないのだけれど。 「シャワーの浴びすぎかな? 髪染めたりしてないんだけど、なんでかな? かなかな?」 「知らない……というか、髪フェチじゃないからどうでも良い」  ぷるぷると震える美姫。  言い過ぎたかと思い、事実すぎるはずなのだがと疑問に思う。それでも謝ろうかと考えてしまう辺り、尻に敷かれているといわざるを得ない。  ガッと起き上がった美姫は、怒って叫ぶ。 「髪が綺麗じゃないと絵作ってもらえないってことぐらいわかるでしょ!?」 「ごめん、美姫」  悲しいことに、この小説には絵を描いてくれる方がいない。そのため、美姫の気にしていることは限りなく無意味なことだ。  だが、反射的に謝ってしまった俺はなんだろう。ただの弱虫だろうか。  ――こんなことじゃ、駄目だ。  『うっそー、あの生真面目な三井君が女の子の尻に敷かれてるなんて信じられない! わたし、ファンクラブ止める』なんてことが起こるようではだめなのだ。俺は主人公なのだ。かっこよくある必要があるのだ。ヒロイン(ギャルゲ的な意味で)に手間取っていてはだめなのだ。  考えてみろ。瑞樹辺りとかは【不良に囲まれる】なんてシナリオが付きそうだ。主人公の俺は嫌々その場に飛び込まなくてはいけないわけだ。高く飛ぶことができたり可視光線(目からビィィィム!)が出せたりしないと駄目なんだ。ただただ強いだけじゃ、ファンクラブの会員は増えないんだ。『きゃー、三井君すってきー♪ 私をもらってー♪』なんていってもらうためには超人的な主人公にならなくてはいけないんだ。  女の尻に敷かれているようじゃ、だめなんだ――ッ!  過程と結論の次元が違うような気がする。  テンションが一気に下がってしまったので、その場を後にする。  ドアを閉めるために振り返った洗面所では、まだ美姫が鏡の前でうーうー唸っていた。