【タイトル】  CROSS!〜物語は交差する〜 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【サブタイトル】  朝起きたときの話21(第94部分) 【ジャンル】  恋愛 【種別】  連載完結済[全127部分] 【本文文字数】  1083文字 【あらすじ】  舞台は現代風の孤島『風宮島』。主人公は季節を巡って愉快なヒロイン達との物語を築いていきます。一番の見所であるヒロインは、可愛さ溢れて10人以上!諸所に導入されているバトルロワイヤルも必見です。ほのぼので、ちょっぴりえっちなひと時を、味わってくださいね♪紡がれる、自分の心――届くことを、伝わることを願って――CROSS紡がれた、自分の心――届いた、伝わった、心――想い人との愛を育む力となることを願って――CROSS 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************  朝起きたときの話  カミング・アウト  暗幕  天気雨 「俺こと御劉誓兎は、今ここで|自虐的告白(カミング・アウト)する!!」  生徒会と非公式新聞部は、風宮島にある風宮学園の中庭を舞台に今日も戦いを行っていた。  グッと拳を突き上げた御劉は、交戦する両軍に向かって――言う。 「あえていおう。女に現を抜かすことは最高であると!」 「……ここでいう意味はなんだよ!?」  ツッコミと同時に跳びあがる俺は、御劉に拳を振り下ろした。  追撃の一閃とぶつかりあい――衝撃が風を巻き起こす。  反動で上昇する身体。拳を退き、蹴撃を御劉へと向かわせる。  それすらも防いでみせた御劉は、しかし片膝をついた。 「グ……さすが我が同士」 「同士っていわれるのが霧消に気に食わんぞ!?」  暗幕を思わせるマントをパッと広げ、御劉はニヤリとした悪役な笑みを浮かべた。 「だが、今日という今日こそは俺が勝つのだよ!」 「フ……それはどうかな?」  俺は人差し指を御劉にビシッと突きたて、不敵に微笑んでみせる。 「御劉、貴様への手紙を俺は預かっている!」 「……誰からの?」 「真紀恵からのメッセージだるぁぁぁぁッ!!」 「寄越せるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」  無論、渡すつもりだ――長方形の紙を投げる。  パシッと受け取った御劉は、紙に視線を這わせ。 「るぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」  ――死んだ。  そして走り出した。彼の心の中の夕日に向かって走り出した。ちょっとだけ涙を流しながら明日に向かって走り出した――  ……気がする。  ともかく、御劉は全力疾走でこの場から退出した。  ふぅっと息を吐き出し、気分を切り替える(←血も涙もない  あと押さえるべきは輝弥くらい――  ポツ…………ポツ………………  見上げる。  空は青かった。  なのに、顔に落ちてくる水がある。 「天気雨……って、やつか?」 「狐(きつね)の嫁入りってやつだね、弟君」  ……同じだよな、美姫。  天気雨は御劉の涙だろうかと閃いて、顔面に浴びるのが嫌になる。  視線を戻した。  今日のところはやめにしますかーそうしましょうかねーお疲れ様ですー明日もお互いがんばりましょうねーこの雨通り雨だといいんですけどねー私傘持ってきてないんですよーああそれじゃ僕の貸してあげますよーいいんですかきゃあありがとうございますー……  ……中庭には俺と美姫だけが残っていた。  思ったことがひとつある。思わざるを得なかったことがひとつある。  ――実は仲良いんだろ、生徒会と非公式新聞部って。       ○  ○  ○ 「なあ……ごめんって、許してください」 「非公式新聞部止めるっていうまで口聞きません(プイッ」 「ぐぅ……真紀恵、このとおり、機嫌直してください!」       ○  ○  ○