【タイトル】  CROSS!〜物語は交差する〜 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【サブタイトル】  朝起きたときの話23(第96部分) 【ジャンル】  恋愛 【種別】  連載完結済[全127部分] 【本文文字数】  898文字 【あらすじ】  舞台は現代風の孤島『風宮島』。主人公は季節を巡って愉快なヒロイン達との物語を築いていきます。一番の見所であるヒロインは、可愛さ溢れて10人以上!諸所に導入されているバトルロワイヤルも必見です。ほのぼので、ちょっぴりえっちなひと時を、味わってくださいね♪紡がれる、自分の心――届くことを、伝わることを願って――CROSS紡がれた、自分の心――届いた、伝わった、心――想い人との愛を育む力となることを願って――CROSS 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************  朝起きたときの話  嵐  ハンドル  天才 「ク――」  ハンドルを切るべきタイミングより0.1秒ほどずれた。壁と擦れる身体。無理やりに突き進む。  フフンと鼻を鳴らす御劉。ジャンプ。障害物を飛び越え、しかし減速はない。  勝ち取った内側。外側にいる御劉はどう足掻いても俺たちを越すことはできない。加速量では俺たちが勝つ。余計に俺たちが前に出れる。  残りの距離は4分の2ほど――今ここで距離を開けておけば、後が少しでも楽になる。  それでも、御劉たちが何の手も打ってこないはずがない。  その予想は当たってしまった。  大きな爆発音。一気に俺たちを追い越す御劉たち。在り得ない加速は、輝弥の特殊能力の応用と見破る。  歯を食い縛る――前に出られてしまったことで、増えてしまった危険。輝弥の特殊能力は放置タイプも選択できる。輝弥はダイナマイトの嵐を巻き起こしてくることだろう。やつらの後ろを行く俺たちは一撃抹殺という死と隣り合わせなのだ。  どうするか――考えろ、思考しろ。  やつらは天災だ。百歩譲って天才といってやってもいいくらいのやつらだ。そいつらを打倒するためにはどうすべきか。  閃いた。  場外側へと移動する。落ちることはできない。普通のジャンプでは、この奇行は不可能。だが、俺たちの特殊能力は普通を凌駕している。  俺は――場外へと跳んだ。  足場を求めるような落下。嵐のような風が顔を、全身を叩く。意識を奪われそうになる。堪える。  これはチキンレースだ。ぎりぎりを求めれば求めるほど、死が近づく。勝利に手を伸ばすほど、敗北が近づいてくる。勘を鋭敏に。勘を総てに。勘に総てを――  俺は、場内へと叩き戻った。  美姫の特殊能力はジャンプ中。落下中も仕様内ではジャンプ中と扱われる。  だから、タイミングを計って特殊能力を発動し、場内の方へとハンドルを切れば――戻ることが可能なのだ。  だから俺が今ここにいる。  俺は満足感に打ちひしがれたい本能を押し留め、加速を続ける。  御劉たちは侮れない。圧倒的な距離を詰める術を、やつらは持ち合わせている。  ゴールの光が見えた。勝者に祝福を与える終末。真っ直ぐに走るだけでいい。障害は何もない。  俺は勝ったのだ。完璧な勝利を掴み取ったのだ。