【タイトル】  CROSS!〜物語は交差する〜 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【サブタイトル】  朝起きたときの話24(第97部分) 【ジャンル】  恋愛 【種別】  連載完結済[全127部分] 【本文文字数】  1229文字 【あらすじ】  舞台は現代風の孤島『風宮島』。主人公は季節を巡って愉快なヒロイン達との物語を築いていきます。一番の見所であるヒロインは、可愛さ溢れて10人以上!諸所に導入されているバトルロワイヤルも必見です。ほのぼので、ちょっぴりえっちなひと時を、味わってくださいね♪紡がれる、自分の心――届くことを、伝わることを願って――CROSS紡がれた、自分の心――届いた、伝わった、心――想い人との愛を育む力となることを願って――CROSS 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************  朝起きたときの話  かくれんぼ  絵葉書  ENDLESS 「……ほう」  美姫の提案でかくれんぼをはじめた俺と優衣。今の鬼は優衣で、俺は優衣の部屋に隠れることにしたのだが、思わぬ品に遭遇してしまった。  ポストカード。裏に俺の父親と母親のツーショットがある絵葉書。  連絡ひとつも寄越さないで何やってんだ両親は……と思っていたというのに。  ここ数十ヶ月分の両親から来た絵葉書の山積みとか。  うぉーい、て叫んでいいだろうかと本気で思案したくなる。  なんだよ、実は心優しく俺たちのこと想ってくれてるんじゃんか。『お前がそこまでいうんなら帰ってやらん』とかあるのは身におぼえがなさすぎるな。  ……優衣を問い詰めるべきか。 「ってことで、殴り飛ばしますよ〜♪」 「優衣、ちょうどいいところで現れてくれた」  突っ込んでほしいらしいボケは全力で無視し、両手で持てるだけの絵葉書を優衣に突き出す。  サッと血の気が引いた優衣は、まるで0点のテストを隠していたのがバレたのび太君のようでおもしろ……ゲホンゲホン。 「優衣、言い訳の時間をやろう。何か言っていいぞ?」 「ええと……作者さんがこうしろって」  本当すぎる真実だった。 「優衣……そこを言っちゃ駄目だ。この作品自体が作者の意図の体現なんだから」 「はいです。それじゃ次の鬼は祐夜さんってことで――」 「おいコラ待てや」   逃げようとした優衣の頭をUFOキャッチャーした。  泣き喚く顔を見ると、なんかテンション上がっちゃうよな!?(←悪人 「さあ、吐くんだ。言わないと次は乳房をキャッチャーするぞ」  何気に危ない発言だなと思うが、記者会見のときにあるみたいに『作者の命令で……』とでも言えば大丈夫かなと流す。  それもいいような……い、いえ、なんでもないですぅ。なんて呟き真赤になった優衣は、ぼそぼそと言い始める。 「お、お父さんとお母さんが帰ってきたら、お兄ちゃんとの楽しい時間が少なくなっちゃうから……」  ……。  ……。  ……。  ……こんなときだけお兄ちゃんとか反則だぁ(←脱力系悶絶声 「私は、お兄ちゃんと美姫ちゃんと――ずっと、楽しく暮らしていたいって、思ってるから」  優衣の真剣な眼差し。  真っ直ぐな心を表していると思えた。優衣の気持ちは一途なんだと、愛しく感じざるを得なかった。  手を伸ばす。髪に触れる。がしがしと、少し乱暴気味に撫でてやる。 「……そうだな」  後数年間くらいは、親を遠ざけてもいいか。  今よりももっと『失いたくない』って――思い始めてしまうかもしれないけれど。  それでも――そう願ってしまうのは駄目なのだろうか。  いつかは終わる。エンドレスじゃないのだから、終わりはある。  俺と優衣は別の道をお互いに歩き出す。その|いつか(・・・)は絶対にある。  美姫を選んだことに後悔はないのだけれど――それでも、沈んでしまう気分は持ち合わせているから、つらい。 「幸せなんだよな……」  時の流れは、なぜ俺たちからこの最高の幸せを奪っていこうとするのだろう。  物悲しくなって、ひたすらに優衣の髪を撫で続けた。