【タイトル】  父母の総会 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【ジャンル】  コメディー 【種別】  短編小説 【本文文字数】  682文字 【あらすじ】  その名のとおり――季節イベント行事ショート・ショートの消化。ほのぼのでのほほんで計画に優しい掌編が書きたかったから書き上げた。後悔はしてない。原稿用紙一枚ものに挑戦中☆日常の人は常にいろいろ考えてる、と伝えたいかもしれない。 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************ 父母の総会 「えー。なので、つきましては……」  ある程度、定時連絡すべき事項を伝え終え、余裕ができる。  私は茶飲みをこの場に居る人たちへ配る。あるお父さんが、笑いかけてくれる。 「すみませんねぇ」 「いえいえ、お茶請けが出せなくてすみません」  談笑の時間。子供を育てるというのは夢を育むことなのだと、仕事を熟(こな)すのとは別物なのだと、ふと気づかされる時間だ。  楽しい。子供に自分たちの夢を託している親達がにこにこしながら話していると、なんだか自分まで楽しい思いになる。  どうやら今は、父子家庭なんですが娘をこれからどう育てていくのがいいかわからないんですよーという父親の悩みについて話しているらしい。  母親と、父親と、子供だけに集団を持たせるのが公共施設ではないのだと実感。 「諦めずに、がんばりましょう。親なんですもの、子供のことは、なんとかできちゃうもんです」  一人が、そう笑いかける。 「そんなものでしょうか」  父子家庭で困っているその彼は、はにかみを返す。  周りもみんな、優しく柔らかく微笑んだ。  同じ親同士が悩みを打ち明け合って、解消し合って、支え合って。そんな中に飛び込めるのは、とても嬉しいと思う。  しかも、私は一人特別。誰よりも解消してあげなくちゃならなくて、支えてあげなくちゃならない。もちろん子供の方だって、そう。  私のおかげで、少しは前向きになってもらえたら。もし救われてくれたならば、私も救われる。  まるで正義のヒーローみたいな思考…… 「きゃん!?」 「先生……だ、だいじょうぶですか?」  おぼんを持ったまますってんころりんしてしまう自分には、相当似合わない考え方だ。  トホホ。