【タイトル】  市民プール 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【ジャンル】  コメディー 【種別】  短編小説 【本文文字数】  608文字 【あらすじ】  その名のとおり――季節イベント行事ショート・ショートの消化。ほのぼのでのほほんで計画に優しい掌編が書きたかったから書き上げた。後悔はしてない。原稿用紙一枚ものに挑戦中☆日常の人は常にいろいろ考えてる、と伝えたいかもしれない。 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************ 市民プール 「ねぇせんせー。まだー?」 「ちゃんと準備運動しなくちゃだめよ」 「えー。もうさんかいはおなじことしてるのにぃ」 「……」  プールなんて野蛮よ。  気分を味わうってことで妥協して、プールサイドでパチャパチャ遊ぼ―― 「入ろ入ろ」 「ちょ、おまっ、せんせーの言うこと聞きなさ〜い」  園児達を追って、しかし水に足が浸かる寸前で急停止。  みんながバシャバシャ騒いでいる様は、美しい。  しかし私には、それにまぎれる悪魔がハッキリ見えるのだ……冷たくて、物量で責めてくるあの悪魔(みず)が! 「せんせーも入ろー?」 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」  全力でぶんぶん首を横に。  胸のぷるんぷるんもいつも以上。水着だとブラをつけてる程度にしか締め付けられない。服を着ていたらさらに揺れにくく良いのだが、水着でそこまで望んでも仕方ない。  ちなみに、胸を締め付けるのは苦しいと定評があるが、私はそうとは思わない。揺れまくっているほうがグワングワンして車酔いみたくなりそうだからに、理由は他ならないが。 「入ろー入ろー」 「ま、まままま、まってぇ」  引っ張られた。子供だから腕力は全力。プールを前に恐れていることもあって、私は抵抗力を直ぐに構築できない。  水が、目の前に――まるで私を誘うかのように、まるで私をせせら笑うように、ピチャッと小さな波を起こして――ッ!  まあ、子供用だから胸も浸からないんだけどさ。  溺れることがないとわかっても、まだ笑みが引き攣る私であった。