【タイトル】  大運動会 【作者】  水瀬愁 【管理】  小説家になろう[ウメ研究所] 【ジャンル】  コメディー 【種別】  短編小説 【本文文字数】  602文字 【あらすじ】  その名のとおり――季節イベント行事ショート・ショートの消化。ほのぼのでのほほんで計画に優しい掌編が書きたかったから書き上げた。後悔はしてない。原稿用紙一枚ものに挑戦中☆日常の人は常にいろいろ考えてる、と伝えたいかもしれない。 注意 小説には著作権があります。この小説を無断で再配布・転載する事は著作権法で禁じられています。 (C)水瀬愁 ************************************************ 大運動会  暑い。あぢぃ。むっしむっし〜。 「ねぇアナタ」 「駄目」  即答されちゃった。むむぅ、人肌のほうが冷たいと思うのにぃ。 「あいつの出番までもう少しだぞ……そんなにぐで〜んとしてていいのか?」 「いいのよ。いっっっっつもこんな感じだし〜」  娘に怒られるのには慣れた。私は何にも囚われない自然体なのです。  フリーダムモード。いっきまぁす。 「……くっついてもいいから、ほら、砂地の上に寝そべろうとするな」 「わぁい」  ぎゅっと旦那様を抱きしめる。うん。やっぱり――  やっ……っぱり…………  暑い! 「もう、カイロみたいなくせに近寄るなっ」 「ちょ、おま――抱きつきたがったのはそっちだろ!?」  ううん。キリリと冷やしたミネラルウォーターはつめたひー。 「並んだぞ?」 「うん」 「応援、構えなくていいのか?」 「いいよ。あの子、応援しなくても頑張ってくれるもん」  それに、あまり騒ぎすぎるなって釘刺されたし。ぷんぷん。 「ツンツンな娘を持つと、困るわぁ」  ミネラルウォーターをやけ飲み。ちょうどその時、パァンというピストルの音が響いた。  障害物走が開始されたようである。ひとり、ふたり、ハチマキをつけた走者が過ぎていって、その後に娘がえっちらほっちら―― 「おうりゃぁぁぁぁぁ。がんばりなさぁぁぁぁぁぁぁぁいい!」 「ちょ、おま、注目浴びてるから自重しろっ」  一度ギッと私を睨んで、娘は顔を逸らす。  ぐんぐん疾走していって、彼女はひとりふたりと追い抜いた。